エッセイ

意味はそっと後からやってくるもの

朝、目が覚めて、ベッドから起き上がり、カーテンを開けて外を眺めると、きれいな山並みが見えた。

北アルプスの山々だ。

今朝は最低気温が氷点下7度ほどだった。

 

山を見ていたら、「そこに山があるから」という言葉を思い出した。

イギリスの登山家ジョージ・マロリーが言ったとされる言葉だ。

 

この言葉は、「なぜあなたはエベレストに登りたかったのですか(Why did you want to climb Mount Everest?)」と質問されて、マロリーは「Because it's there.」と答えたところから来ている。

それを「そこに山があるから」と翻訳したとのことで、そのまま直訳すれば、「そこにエベレストがあるから」という意味らしい。

 

マロリーの「Because it's there.」という言葉に哲学的な意味合いがどれほどあったのか、なかったのか、いまだに見解は分かれている。

 

そして、私はふと、こんなことを思った。

 

マロリーは、エベレストというものが今自分と同じ世界の中に確かにあり、意味や理由などはなく、ただそこに登りたいと思ったのではないか。

 

意味づけにはあまり意味がない。

それもまた妙な言い方かもしれないが、そんなふうにマロリーは思っていたのではないかと勝手に空想してみた。

 

意味を求めると堅苦しくなったり、意味を求めるとつまらなくなったりもする。

 

意味はそっと後からやってくるものなのかもしれない。

後ろからやってきて、わたしの背中をポンポンと軽く叩いて、ニコッと笑う、そんな「意味」さん。