あの日、精神病院で食べたHくんのアイスクリーム

今日は8月11日。

私は、2005年の今日は、精神科病院に入院していた。あれからちょうど20年になる。

人生で初めての精神科入院だった。

希死念慮(死にたい気持ち・衝動)が高まり、OD(オーバードーズ:過量服薬)しての入院であったため、入院当初からしばらくは個室だった。

 

入院して、少し経ったある日、看護師さんが私の病室に来て、「面会の方がお見えですよ」と言った。

私は、その日は家族が来る話は特に聞いていなかったので、「誰だろう??」と思いながら、面会室へと歩いて行った。

面会室に入ると・・・そこにいたのは、Hくんだった。小学校・中学校の同級生だ。幼い頃から一緒によく遊んだ仲だ。私の実家と彼の実家もすぐ近所。

 

「まっちゃ、持ってきたぞ」と彼は言って、アイスクリームを2つ取り出した。

「まっちゃ」とは、私のニックネームだ。もともとは「まっちゃん」だったが、いつしか「ん」がはずれて、「まっちゃ」になった。

一緒にアイスクリームを食べた。旨かった。と同時に、とっても味わい深かった。

 

何がうれしかったかというと、Hくんは、「いつものHくんのまま」、私と相対(あいたい)して、話してくれたことだ。

過剰に心配するのでもなく、何か「アドバイス」をするのでもなく。

「いつものHくん」がそこにはいた。

 

去年と今年、Hくんと飲んで、語り合った。

その際に、あのときのアイスクリームの話を聞いてみた。

そうしたら、Hくんは

「いやー、あのときはさー、精神病院には何持って行って良いのかわかんなくってさー、ちょっと悩んだぞー」

と言って、笑っていた。

 

私が次に東京に行くときは、またHくんと飲んで、語り合いたいなぁ。

今度は、私が信州のお土産を持って行って、彼に渡す番だ。

うん。

「何にするか、ちょっと悩んだぞー」

と言って、H君に渡すんだ。