精神保健福祉士として思うこと・感じること・考えること

2000年に精神保健福祉士になって、初めての臨床の場は総合病院の精神科デイケアでした。

そのときの写真です。


私は2000年に第2回精神保健福祉士国家試験を受けて合格し、精神保健福祉士を取得しました。

早いもので、あれから25年になります。

総合病院の精神科デイケア、地域活動支援センターⅠ型、就労継続支援B型型事業所などで精神保健福祉士として計16年働きました。

 

私がその経験やこれまでに学んできたこと、思うこと、感じること、考えていることなどを、2025年8月に北九州市で行われた「第60回公益社団法人日本精神保健福祉士協会全国大会・第24回日本精神保健福祉士学会学術集会」で演題として発表しました。

https://www.jamhsw.or.jp/taikai/2025/index.html

 

演題名

当事者はどのような精神保健福祉士を求めているのか・望んでいるのか ~精神保健福祉士の役割と存在意義、専門性をめぐって~」

 

以下はその内容です。



 はじめに

発表者は2000年に精神保健福祉士(以下、PSW)を取得し、総合病院の精神科デイケア、地域活動支援センター型、就労継続支援B型事業所などで勤務した。PSWとして計16年臨床の場にいた。2004年にうつ病を発症し、2005年に1回目の入院を経験した。2023年に躁状態となり、2回目の入院を経験した。病名は双極性障害となった。

 

 方法

PSWと当事者の両方の立場と経験から考察を行う。

 

 考察

発表者は2回目の退院後、「PSWの役割、存在意義、専門性とは何だろうか?」と考えさせられた。

当事者からしてみると…「支援者の職種は、本質的には関係はない」⇒自分が本当に「こころ」を開いて安心して話せる人・信頼できる人、しっかり自分に向き合ってくれる人ならば、職種は関係ないのではないか。

 

当事者はどのようなPSWを望んでいるのだろうか?

「しっかり向き合ってほしい」「人として見てほしい」「自分の思いや考え、悩み、困りごと、人生の希望などに、しっかり耳を傾けてほしい」⇒「受けとめてほしい」⇒その上で、一緒に考えてくれて、助言や情報、意見などを言ってほしい。「選択肢を増やす」「視野を広げる」役割をしてほしい。

発表者が考えるPSWとは?⇒「山登りのガイド」のような存在である。

・山を登る人(登山者)=クライエント

・PSW=ガイド 道案内・状況判断・アドバイスなど

 

援助過程でうまく行かないとき、100%クライエントのせいにするのでもなく、100%自分のせいにする=自分を責めるのでもなく、「個人」と「環境」(社会環境を含む)の両方の因子から捉え、考えて、自らの「かかわり」を創意工夫して、試行錯誤するのがPSWなのではないか。

 

「クライエントがその人らしく充実した人生を送れるように支援する」のがPSWの役割ならば、そのための「1つのパーツ」「1つのツール」として、医療や障害福祉サービスを提供するのがPSWの役割である。PSWは自身が所属する職場が提供しているサービスをクライエントに提供することのみに目を向けることのないように留意したい。

 

クライエントの生活、人生は「切れてるチーズ」ではない。「一本の連続したチーズ」なのではないか。現代のPSWは、「自分の取るべき持ち分の一切れを取る⇒取って、自分の責務は果たした」とするような感覚・傾向が見られる。

 

昔は、社会資源も少なく、PSWは「何でも屋」であった。時代が進み、社会資源も増えてきて、医療障害福祉サービスの「細分化」「分業化」「システム化」「規格化」が進んだ。それは、当事者や家族に何をもたらしているのだろうか。もともと、当事者(クライエント)や家族とPSWのあいだには「ズレ」や「ギャップ」があった。PSWは、その「ズレ」や「ギャップ」を自覚し、意識に留めながら、支援=「かかわり」を行ってきた。現代のPSWは、その「ズレ」や「ギャップ」をどこまで自覚し、意識化して、日々の臨床を行っているのだろうか。

 

発表者がPSWと当事者の両方の立場を経験して痛感するのが、「人が精神を病むということの奥深さ」である。「専門家ぶらない」「権威的にならない」ことこそが、PSWの「専門性」であり、存在意義なのではないか。PSWは、専門職としての知識、技術はもちろんのこと、自らの価値観、人間観、感受性、想像力、創造力、しなやかさ、懐の深さ、そして社会認識、社会的視座が問われてくる。

 

 結語

「コ・プロダクション」(Co-production:共同創造)の時代において、PSWとクライエントとの関係性や、クライエントとの信頼関係づくりの大切さ・大事さ、信頼関係の形成とその深化・発展のための「技術」と「日々の創意工夫」、そして「思考停止しないこと」が、いま改めて問われている。真に当事者から「信頼できる」「心強い」「ほっとする」と思われるようなPSWが求められている。








演題発表前の腹ごしらえ